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"生命の要" 分子モーターが拓く新たな世界
私たちの体の中の細胞は、私たちの社会と似ています。農村で作られた米、野菜、果物や、工場で作られた家電製品は、飛行機、列車、トラックなどの様々な運び手に よって輸送され、私たちの生活を成り立たせてくれています。 これと同じように、脳の神経細胞・消化管の上皮細胞・筋肉の細胞・血管の細胞など、 すべての細胞には微小管という直径25ナノメートル(25ミリの百分の1)のレールが張り巡らされ、 その上をモーター分子が極めて巧妙な機構を用いてタンパク質などを輸送し、生命活動を支えています。 モーター分子が私たちの大きさとすると、直径5メートルの土管の上を秒速100メートル程の速度で、10トントラックほどに積荷を担いで地球から月までの距離を 走り回っていることになります。
私たち、廣川研究室は、マウスやヒト等哺乳類のモーター分子(Kinesin superfamiliy motor protein)のすべての遺伝子を発見し、生命科学のあらゆる先端的方法を 駆使して、この生命活動に必須なモーター分子による機構の解明を目指しています!!
これまでの研究によって様々なことが解明されてきました。
○Kinesinは記憶・学習等の脳の高次機能を制御しています。
○育つ環境の違い、つまり刺激の豊かな環境下での記憶・学習能力の亢進に基礎的な役割を持っています。
○神経回路網形成を制御します。
○体の左右非対称性(心臓が左、肝臓が右などの配置)を決定しています。
○細胞の腫瘍化・癌化を抑えています。
他にも、神経変性疾患、不安神経症、癲癇、巨大結腸症、女性不妊、水頭症、高脂血症などに関連しています。
analysis of the kinesin
微小管に沿って積荷を運ぶ、モーター分子の電子顕微鏡写真
モーター分子は様々な積荷(カーゴ)を輸送しています。
矢印の先にあるレールに沿った分子がモーター分子Kinesin。 自身の何十倍もの大きさの積荷を凄まじい速度で、毎日毎日運んでいます。